第3話 消せない想いと向き合う

雨上がりの葉にかかるクモの巣が、しずくをまとって輝く。消せない想いも、光に照らされるように少しずつやわらぐ秋の朝。

前回、過去の自分をそっと抱きしめながら、
少しずつ心の整理を進めること――
「手放す」という作業の途中にいることをお話ししました。

それでも、整理しても、まだ胸の奥に残る気持ちがありました。
それが、たぶん“罪悪感”かもしれません。

「私のせいだ」――
その言葉が、ずっと心に住みついている。

あの時、助けられなかった。
あの時、もっと抱きしめてあげればよかった。
あの時、言えなかった。
あの時、言いすぎてしまった。

悔しくて。
自分を責めて。
どうしようもなく腹が立って、また後悔して――。
そんな負のループに押しつぶされそうになっていた。

気づけば、自分を責める材料ばかり探している。
悪いのは私?
弱かった私?
間違えた私?

小さな「でも、あの時……」が、
少しずつ積み重なって、
心の奥がずっとざわざわしていました。

でもね、少し立ち止まって問い直してみてもいいんです。
「本当に全部、私だけの責任だったの?」

あの頃の私は、選べることが少なくて、
声をあげる余裕もなく、
ただ生きるだけで精一杯だったのです。

そう思うと、できなかったことばかりに目を向けるより、
必死に今日まで生きてきたことを、
まずはひとつ褒めてあげたい。

そう気づいたとき、ふと胸がゆるみました。

罪悪感は、私がちゃんと大切に思ってきた証。
だから、すぐに消さなくていい。
少しずつ、やさしい方へ持ち替えていけばいい。

たとえば、
「もうあの時とは違う私がいる」
そう思えた瞬間に、罪悪感が少し軽くなる。

もしあなたも、同じように自分を責める気持ちがあったら――
どうか無理に消そうとしなくて大丈夫です。

「まだ罪悪感を抱えている私」でもいいんです。
それも、ちゃんと生きている証だから。

少しずつ、少しずつ。
自分を責める手をゆるめて、
やさしい気持ちに持ち替えていく――

その感覚を、今日も一緒に確かめていきませんか?


今日も、心の中で小さなやさしさをひとつ見つけられた気がします。

次回は、私の大切な存在である息子との日々から見えてくる
母としての思いと、あきらめたくない理由について考えます。

今日も『さんぽ』にお付き合いいただきありがとうございます🌿

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