朝、急ぎながら自転車で土手を走っていると、
数え切れないほどのとんぼが、目の前をひしめくように飛んでいた。
ぶつからないように身をひねりながら、前へ進むわたしと、
空を自由に舞うとんぼたち。
麦わら帽子の影にサングラス。
腕にはアームカバー、首もとには冷たい手ぬぐい。
こんなに身につけているのに、じんわり汗がにじんでくる。
夏の光から身を守りながら、自転車に体を委ねて坂を駆け抜けた。
ふと視線を上げると、とんぼたちはすいすいと風に乗って進んでいく。
暑さなんて気にしていないように、ただ空を渡っていくその姿が、
少しうらやましくて思わず笑ってしまった。
夕方になると、家の窓に赤みの濃い夏の夕焼けが差し込み、
部屋の空気までほんのり色づいていく。
オレンジ色の中に座っていると、時間までゆっくり流れているようで、
ふと、もうこんな時間?と時計に目をやった。
陽が少しずつ短くなっていることに気づき、
胸の奥に、ふと小さなさみしさが残った。
もう夏は十分、と思うのに、いざ終わりが近づくとまだ少しだけ一緒にいたくなる。
けれど、次の季節もまた待ち遠しく感じている。
外はまだこんなにも暑いのに、
耳をすませば、鈴虫の声がそっと混じりはじめていた。
秋が近づいてきていることを、静かに告げているようだった。
今日も『さんぽ』にお付き合いいただきありがとうございます🌿
みなさんは、どんなときに秋の気配を感じますか。
夕焼けの赤、虫の声、風のにおい。
それとも、食卓に並ぶあの秋の味覚でしょうか。
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